村川雅弘先生@鳴教大編著の『ワークショップ型研修のすすめ』を読んだ.この本を読む目的は,研修会で用いるワークショップの効果的な実施方法を知ることである.特に,第1部の理論編の中の,3,4,6の内容が勉強になった.
3 企業における研修のPDS
・企業で多く用いられている人材育成の三大方法(OJT,off-JT,SD)があり,特にoff-JT(※1)によって,職業人としての意識付け・動機付けが図られる.
・研修を企画する際は,社員の現状を知り,社員の内発的動機付けをためる工夫をすることが目標達成のポイントになる.特に,「Why(状況分析による研修ニーズ)」では,問題意識をバランス欲よく整理して,真の研修ニーズを把握する.その後,What(テーマ) Whom(対象) Who(講師) How(研修技法・プログラム) When(スケジュール) Where(会場・備品)を決め,研修プランが策定される.
・研修技法として,「理解促進討議法」「ハーバード方式」「イン・バスケット法」などがある.
・ワークショップを実施する際の講師は,インストラクターからファシリテーターとして役割を変化させる.
・研修は知識やスキルの習得の場であり,定着の場ではない.受講者が「目標値」を目指すだけの環境や条件を与えたに過ぎないことを理解しておく.
4 ワークショップ型研修の技法と研修の効果
・ワークショップは手段であるので,研修の目的とは明確に区別する.
・ワークショップは,J.Lモレノが臨床心理の一手法として考案したことに始まる.
・ワークショップの核心は「協働のしくみづくり」であり,受講者間に「相互補完」「協力」「信頼」「尊重」が必要である.
・ワークショップ型研修には,会場,グループづくり,小道具,ムードとしかけなどに配慮がいる.
・ワークショップの進め方の例は
1)グループ一人一人に役割を与え,「最低10枚,付箋紙に書く」や「8分間で」と言った具体的な指示を出したり「批判厳禁」のルールがあることを伝えたりする.
2)まずは,「ポジティブシート」に成果をまとめる.次に,「ネガティブシート」に課題をまとめる.課題は,理想的な状態(目標)と現状の差としてとしてとらえてもらう.
3)セブンクロス法を用いて解決策を感あげてもらう.
・PDCAの考え方は,QC(品質管理l)の分野で使われ,教育界でも耳にするようになった.
・研修の目的を,教師の力量をあげ自校の教育を品質管理するためとしてはどうか.
・問題点を洗い出すときにパレート図に表したり,課題解決を図る際に特性要因図(フィッシュボーン)に表してみる.
・ワークショップ型研修を通じて,「禁止と命令」から「選択と決定」による学校マネジメントに移行させる.
6 e-研修の可能性と課題
・CSCLは,これからの教員研修の手法として注目されている.
・e-learningの代表的な形態として,Web(メール,掲示板),Web以外(テレビ会議),ブレンディング(従来型教室授業にe-learningを組み合わせたもの)がある.
・e-研修のポインは,受講生の主体性,総合スキルの習得,ノウハウの共有,自己学習の促進などである.
※1職場外の特別な場所や環境で育成する方法.選抜した社員に,日常業務では習得できない知識や情報を与えることで,多階層・他職種のネットワークが形成させ,視野を広めさせることができる.
以上の内容から,
・「校内研修づくり」についてまだまだ知らないことが多い
・ワークショップ形式で研修さえすればうまくいくとは言えない
ことが分かった.
また,受講生の研修意欲・満足感を高めるワークショップ型研修を行うために,
・ワークショップを通じてどんな力を受講者に身に付けさせるか目標の細分化・明確化が必要であること
・ワークショップ型研修は,主体的な受講生同士の協働によって高まるようなしかけを工夫すること
などに留意することが大切であると分かった.
この本に書かれていたワークショップ型研修の理論をの研究に活かしていきたい.
-----追記
後半の事例編の中で特に参考になったのは以下の内容である.
・レポート・ワークショップ:教師が書きためた自己評価レポートを基に相互啓発を生み出す.(上越市高志小)
・ポスターセッション形式のワークショップ:ワークショップの発表をポスターセッションで行う.(阿波市吉野中)
・グループ構成の工夫:学習支援ソフトを研修する際,ステップ1では,1グループにつき1機能を習得する.ステップ2では,自分が習得した機能を再構成されたグループで順番に教え合う.また,ステップ1では,「活用アイディア」を付箋紙に書いておくとさらに効果的.(美馬市江原中)
・ワークショップの進め方および使用するワークシートの工夫:一人一人がアイディアを,横に「個人,学校,地域」を縦に「即実行,今年度,次年度」など3×3のマトリクスに当てはめて整理する.(市場町立市場小)
・異能者集団で行うワークショップ:地域の特産物をテーマに,農業関係者や栄養士,教師,学者などでワークショップを行う.(とくしま総合的な学習研究会)
・ワークショップを盛り上げる導入の工夫:大勢がいる際は,指定されているテーマのうちどれを選ぶかを第1の課題とすることで話し合いがいきなり盛り上がる.(徳島県小学校教育研究会総合部会の夏季研修)
以上の事例から,ワークショップ型の研修と一口に言っても多様な物が存在しているのだと言うことが分かった.そのポイントとして,メンバー構成の仕方,研修意識のもたせ方,研修で活用する実践の記録の仕方,一人一人のアイディアを効果的な整理の仕方などがあげられると思った.
ワークショップ型研修は,受講者以上に,主催者の積極性や創意工夫が発揮できる可能性が高いものであることが分かった.
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